B型肝炎の給付金・訴訟の弁護士相談はベリーベスト法律事務所におまかせください。
国を相手取った裁判によって国の過失によりB型肝炎ウイルスに感染したと認められると、社会保険診療報酬支払基金に請求することにより最大で3600万円の給付金や訴訟手当金を受け取ることができます。また、無症候性キャリアと認定された場合には、和解成立後のB型肝炎に関する定期検査に要する費用などが国の負担になります(なお、年間の回数上限はあります)。いわゆる「B型肝炎訴訟」です。
もしあなたがB型肝炎ウイルスに感染していると診断されたのであれば、すぐに感染原因を調査・確認してください。そして感染原因が国の過失によるものと考えられる場合は、診断書とともにそれを証明する資料などを用意したうえで、国を相手に訴訟を起こすことで、最大で3600万円の給付金を受け取ることができる可能性があります。
もちろん、B型肝炎ウイルスに感染していると診断されたからといって、誰でも給付金を受け取ることができるわけではありません。給付金の支給対象者はさまざまな要件が定められており、そして診断された病状によって給付金の額も決められているのです。
このコラムでは、B型肝炎ウイルスに感染していると診断された人のうち、給付金の支給対象者となることができる人の法的な要件と、B型肝炎訴訟において給付金を請求する際に注意しておくべきポイントについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しくご説明します。
B型肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)により発症する感染性の肝臓病です。
HBVは、主に血液や体液を介して感染することが医学的にも証明されており、HBVキャリアであるか否かについては血液中のウイルス量を測定して診断します。
感染経路としては、垂直感染と水平感染があります。垂直感染とは出生時にHBVキャリアである母親から感染したものであり、母子感染防止事業が広く普及した現在では少なくなっていると考えられます。また、水平感染は注射器の使い回しなどにより他のHBVキャリアの方から感染したことをいいます。
感染には、「一過性感染」と「持続感染」があります。一過性感染とは、HBVに感染したものの、HBs抗体が生成されHBVに対する免疫ができたと診断された状態のことをいいます。一方で持続感染とは、感染したHBVが6か月以上体内から排出されていないと診断された状態のことをいいます。B型肝炎訴訟で給付金を受け取ることのできる対象になる人は持続感染と診断された人であり、一過性感染と診断された人は対象となりません。
B型肝炎ウイルスに感染すると、潜伏期間を経て倦怠(けんたい)感、食欲不振、吐き気など、黄疸などの症状があらわれます。多くの場合は、何も自覚症状がないままの無症候性キャリアの状態です。そして病状が悪化すると、慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんなどに悪化することもあり、最悪の場合は死に至ることもあります。
B型肝炎訴訟とは、HBVキャリアと診断された人のうち、幼少期の集団予防接種の際に注射器を使い回したことが原因でB型肝炎ウイルスに感染した人(一次感染者)、一次感染者から母子感染した人(二次感染者)、またはその人たちの相続人が、「注射器の使い回しを放置したことは国の過失である」として、国に対し損害賠償を請求している訴訟です。
平成元年にはじめて国を被告とするB型肝炎訴訟が提訴され、17年にもわたる裁判の結果、平成18年の最高裁判決により国の過失が認定され、原告の感染被害者には損害賠償が支払われました。
その後も、感染被害者を原告とする集団訴訟が相次いで提起され、平成23年6月には原告団と国の間で和解に関する「基本合意書」が締結されました。これを踏まえ、平成24年1月には「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法」(以下特別措置法)が施行され、国の過失によりB型肝炎に感染した人への給付金制度や認定要件、国への請求期限などが法律によって定められることになったのです。
さらに平成27年3月には原告団と国との間に「基本合意書(その2)」が成立し、これを踏まえ平成28年8月には追加給付金や給付金の支給対象者を拡大する「特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等の支給に関する特別措置法の一部を改正する法律」(以下改正特別措置法)が施行されました。
このように、B型肝炎訴訟についてはすでに国の過失を認める内容で判決が出ているのです。さらに、感染被害者と国は感染者の救済を目的とした「合意書」を締結済みであり、合意書の内容を実行するための特別措置法なども成立しています。
医師の診断や感染経緯などの調査の結果、もしあなたが特別措置法に規定するB型肝炎訴訟の対象者であれば、合意書や特別措置法の規定に基づき診断書などの必要書類を用意したうえで国を相手に裁判を起こし、裁判所の認定に基づき国と和解することで、給付金を受け取ることができます。
特別措置法や施行規則では、B型肝炎の感染被害者として国から給付金を受け取ることができる可能性のある人を、一次感染者と二次感染者に分けて規定しています。給付金を受けるための要件や必要な診断結果および資料について以下にまとめました。必要な診断結果や資料については、医学的見地や特別措置法などの規定に基づいたものが必要になりますので、医師や弁護士などの専門家のアドバイスを得ながら集めることをおすすめします。
なお、このほかにB型肝炎ウイルスの一次感染者である父親からの父子感染や、二次感染者の子どもから母子感染または父子感染した持続感染者(三次感染者)、およびこれらの人の相続人についても、給付金の支給対象者となる可能性があります。
また、一次感染者や二次感染者を問わず、HBVキャリアと診断された人であれば症状を発症していない無症候性キャリアであっても、他の要件を満たせば給付金の支給対象者となります。
一次感染者の要件は、以下のすべてを満たす必要があります。
血液検査結果に基づいて判断します。検査の結果が以下のいずれかである場合は、B型肝炎ウイルスに持続感染していると判断できます。
母子健康手帳又は予防接種台帳が必要書類となります。これらがない場合は、その旨を説明した陳述書や接種痕についての医師の意見書、出生から満7歳までの住民票または戸籍の附票などの提出が求められます。
要件2と同様の書類で確認します。
以下のいずれかにより確認します。
たとえば一次感染者となり得ない父親からの父子感染や、性交渉などのように、国の過失にあたらない原因による感染はB型肝炎訴訟の救済対象とはなりません。集団予防接種以外にB型肝炎の感染経路がないことを証明するためには、以下の書類や診断結果が必要です。
二次感染者の要件と必要な診断結果や資料は、以下のとおりです。
一次感染者の要件1と同じです。
以下のいずれかの資料が必要になります。
B型肝炎訴訟で国と和解となった際の給付金は、その病態により50万円から3600万円と定められています。
また、この金額は下記それぞれの日から起算して「20年の除斥期間を経過しているか否か」によって大きく変わります。
この除斥期間を経過していると、たとえば死亡した人であれば本来3600万円の給付金が900万円になどというように、給付金の額が大きく低くなってしまうのです。
なお、無症候性キャリアであれば本来600万円の給付金が得られると定められていますが、この手続き上、集団予防接種を受けた日(一次感染者の場合)からも、出生した日(二次感染者の場合)からも20年を経過しているため、一部の例外を除いて、50万円プラス定期検査費を受け取ることになる方が大半です。
B型肝炎給付金の請求には期限があり、2027年3月31日までです。まだまだ時間があるように思われるかもしれませんが、請求にあたっては、医師の診断書や各種の証明書など、裁判所に提出する書類の収集は予想外に時間がかかることもあります。もしあなたがB型肝炎に感染していると診断され、その原因が国の過失であると考えられる場合、B型肝炎訴訟を起こすための準備は早めに着手しておくべきでしょう。
B型肝炎訴訟により国と和解して給付金を受け取ったあとに、医師からB型肝炎の症状が悪化していると診断された場合は、その症状にあわせて追加給付金を請求することができます。たとえば、慢性肝炎として和解し1250万円を受け取ったあとに肝硬変(軽度)の発症を診断された場合、請求できる追加給付金は1250万円(肝硬変(軽度)の場合給付金は2500万円ですが、慢性肝炎としての和解時に1250万円を受け取っているため、その差額である1250万円が追加請求可能な金額です。)となります。
ただし、追加給付金の請求は特別措置法第10条の規定により「病状が進行したことを知った日から3年以内」と規定されています。この「知った日」とは、病状の進行を医師が診断した日とすることが一般的です。
医師からB型肝炎ウイルスに感染していると診断された人でも、果たしてご自身が本当に給付金支給の対象者なのか、給付金はいくらもらえるのか、いろいろとお悩みになると思います。
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先述のとおり、B型肝炎訴訟の期限は迫っています。もしあなたがB型肝炎ウイルスに感染していると診断されたら、ぜひベリーベスト法律事務所までお早めにご相談ください。あなたのために、ベストを尽くします。
※この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています。